読むと役立つ連載コラム

長瀬真利雄税理士事務所 税理士 長瀬真利雄

こんにちは。長瀬と申します。私は、大学卒業後、広告代理店や経営コンサルティング会社などで主に企業様の業績アップのお手伝いをしておりました。
その後、会計事務所に転職しこの業界に入ったのですが、当時、経理の現場を見て最初に感じたことは「本当に無駄が多い!」ということです。
特に、これから起業される方には、経理業務をできるだけ軽くして本業に集中して頂く必要がありますので、是非参考にしてみて頂ければと思います。

経理業務はできるだけ軽くして本業に集中!  長瀬真利雄税理士事務所 税理士 長瀬真利雄

第四回 起業直後の方にお勧めのシンプル経理②

今回は前回に引き続き、「起業直後の方にお勧めのシンプル経理」の第2弾ということで、お話できればと思います。
前回は、「経理とは入出金の説明である」と定義し、説明のために必要な勘定科目をどう考えれば最低限OKなのか?ということをお話させて頂きましたが、今回はさらにシンプルにするために、入出金元をできる限り少なく・・・という観点からお話します。

通常の企業活動において入手金が行われる手段としては、実際の紙幣や硬貨でやりとりする現金取引と、銀行口座を通して行う口座取引の2種類があります。これらの大きな違いは、口座取引であれば、入出金が行われるたびに、自動的に入手金記録が残りますが、現金取引は自分で記録をつけなければ記録が残らないという点です。

税務署的には
①その入出金が本当にあったのかどうか?
②その入出金が正しく(税務的に)処理されているか?
という観点からチェックが行われますが、口座取引であれば自動的に預金通帳という形で公的な記録が残りますので、少なくとも上記①の観点からは疑われる余地がありません。一方、現金取引については、あくまで自分で入出金の記録をつけなければならないため、入出金があったかどうかという信憑性は低くなります。また、現金取引は、本来的には、きちんと記録をつけ(現金出納帳)、記録上の残高と実際の現金残高が一致しているかを毎日のように確認するといった手間もかかり、事務処理的にも大変です。

従って、よりシンプルに経理処理を行うという観点からは、銀行口座を通した取引を行うことがポイントとなります。ただし、実際には硬貨や紙幣を使って取引をする場面も多々存在しますので、現金取引を行わないということを意味しているわけではなく、あくまで、「会社としては現金の管理をしない」という意味になります。具体的な例をいくつか挙げてみたいと思います。

例えば、社長が日々自分の財布から払っている営業交通費や事務用品費などは、実際には紙幣や硬貨で取引が行われますが、これらは一定期間まとめて経費精算という形で、会社口座から社長の個人口座へ振り込みをすれば、会社の管理上は口座取引になります。通帳には、社長個人口座に振り込んだ総額が一本明細行として残りますので、合計額がこの総額と一致する経費精算書を作成して、経費精算項目のそれぞれに対応する領収書がそろっていればそれで問題ありません。つまり、経費精算書という形で、入出金の説明が可能になります。

続いて、飲食店業など売上が硬貨や紙幣で入ってくる場合においても、数日分の売上をまとめて口座に入金し、入金額が数日分のレジの売上集計額と一致していれば、それで入出金の説明が可能になります。

このように、会社に関する入出金のすべてについて、口座を通じて説明可能な状態にしておくことで、非常に経理をシンプルな状態にすることができます。これは、いわゆるキャッシュレス会計というやり方です。

また、単純に経理をシンプルに行うことだけを考えれば、預金口座は複数あるよりも一つに絞ったほうが断然楽になります。また、口座をひとつに絞ることで、その口座の預金残高が、正真正銘のキャッシュ残高となりますので、経営状態が一目でわかるというメリットもあります。

例えば、300万円で会社を設立し、会社設立費用や初期投資で200万円使った場合、預金残高は100万円になります。事業活動を行っていき、特に借入等もなく、半年後に預金残高が150万円となっていたとすれば、まずその時点で使えるお金の最大は150万円であることは一目瞭然です。

また、初期投資が終わった時点での残高が100万円であったものが、現在150万円になっているということであれば、その会社の営業キャッシュフローは50万円のプラスであると判断でき、取りと払いの期間に大きなずれがなければ、ざっくりとした利益も50万円と判断しても差し支えない場合も多いでしょう。

このように、口座にすべての取引を集約することで、「今使えるお金」「営業活動により増えたお金」「だいたいの利益」がわかるということになります。特に起業直後においては、なかなか帳簿をつける時間も取れないことも多く、口座残高を見るだけである程度の判断ができるようにしておくことは非常に価値あることと言えます。

次回は、「第五回 仕訳は入力するものではありません。」をお送りします。