読むと役立つ連載コラム

長瀬真利雄税理士事務所 税理士 長瀬真利雄

こんにちは。長瀬と申します。私は、大学卒業後、広告代理店や経営コンサルティング会社などで主に企業様の業績アップのお手伝いをしておりました。
その後、会計事務所に転職しこの業界に入ったのですが、当時、経理の現場を見て最初に感じたことは「本当に無駄が多い!」ということです。
特に、これから起業される方には、経理業務をできるだけ軽くして本業に集中して頂く必要がありますので、是非参考にしてみて頂ければと思います。

経理業務はできるだけ軽くして本業に集中!  長瀬真利雄税理士事務所 税理士 長瀬真利雄

第三回 起業直後の方にお勧めのシンプル経理

このページをご覧の中には、起業直後の方で「経理業務をまずは自分でやってみよう」とお考えの方も多いと思いますので、今回はそのような方向けに「最低限このようなレベルまでやっておけば、なんとかなる」ということについてお話できればと思います。

そもそも「経理」とは何なのか?ということについて、具体的な理屈を伴った理解をしないまま、「なんとなく、ルールに基づいて入力しなければ・・・」という感覚で入力作業を開始されていませんでしょうか?このような認識で入力を開始してしまうと、ソフトの使い方は別としても、入力内容そのものに自信が持てず、入力作業に多大な時間を浪費してしまうというケースが非常に多く見受けられます。

そこでまずは「経理」とは何なのか?についてご説明したいと思います。「経理」を一言で言ってしまえば「入出金の説明」です(100%ではないですが、一般的な中小企業の場合、95%以上は「入出金の説明」と言えるでしょう。)。もう少し具体的に言うと、「入出金の説明」とは、ひとつひとつの入金又は出金に対して、「①証拠資料を揃え」、「②取引の種類を決める」という流れになりますので、この2点がしっかりできれば、最低限のレベルはクリアできているとお考え頂いて問題ありません。

「証拠資料」とは、例えば入金であれば発行した請求書であり、出金であれば、支払った際の領収書などです。こちらの「証拠資料」については、書類整理のテクニック論になりますので、お好きなように漏れなくキッチリとファイリングして頂ければ特に問題ありません。領収書も、別に紙に貼って保存しなければならないというルールはありませんので、例えば月別に袋に入れたり、ホッチキスで止めておいたり等の保存でも問題ありません。

「取引の種類」とは、いわゆる「勘定科目」のことですが、これで悩まれるパターンが一番多いのではないでしょうか?しかし、正しい勘定科目が何なのかを調べるために多大な時間を浪費するのはナンセンスです。

極論、勘定科目が間違っていたとしても、特に皆様が通常悩まれるような勘定科目(ガソリン代は旅費交通費 or 燃料費 or 車両費? 等)は、税額には影響しないことが多く、たとえ税務調査があっても、税額が変わらず、かつ悪意をもって変な勘定科目にしたのでなければ、実害はないでしょう(勘定科目についての指導はあると思いますが・・・)。

それよりは、きちんと自分の言葉で「取引の種類」を整理するほうが、あらゆる面において効率的と言えます。例えば、文房具を購入したのであれば、あえて「事務用品費」にするのではなく、「文房具代」として、新幹線に乗ったのであれば「旅費交通費」とするのではなく「新幹線代」といった具合に整理してしまうということです。企業活動はある意味においては同じことの繰り返しですので、それほど種類数は多くなりません。

これにより、①勘定科目に悩む時間の短縮に繋がり、②入力したデータを集計して経営分析をするにも自分の言葉で整理しているのでわかりやすく(たまに、自分で入力しているにも関わらず、この勘定科目には何が入っているのかがわからなくなっている人を見かけます・・・)、③決算時に税理士がチェックする際にも下手にテキトーな勘定科目になっているよりはチェック作業が効率的(=税理士費用が安く済む)。といったような面においてです。

但し、摘要欄には「何を買ったのか?(又は何に使ったのか?)」+「どこに払ったのか?」という内容は最低限書く必要があります(これは普通に勘定科目で整理しても、自分の言葉で整理しても必要なことになりますので作業量は変わりません。)。

決算・申告の段階では、適切な勘定科目で処理がなされ、かつ入出金を伴わない処理も行う必要はありますが、少なくとも期中においては最低限上記のようなことを抑えつつ、スピード感をもって処理されることをお勧めします。

特に、起業直後の場合は事業を軌道に乗せることが最優先になりますので、経理に無駄な時間とお金を費やしている場合ではありません。経理で100点をとっても1円も儲かりませんので、是非本業で100点、いや最低120点以上を目指して頑張りましょう。

次回は、「第四回 起業直後の方にお勧めのシンプル経理②」をお送りします。