読むと役立つ連載コラム

長瀬真利雄税理士事務所 税理士 長瀬真利雄

こんにちは。長瀬と申します。私は、大学卒業後、広告代理店や経営コンサルティング会社などで主に企業様の業績アップのお手伝いをしておりました。
その後、会計事務所に転職しこの業界に入ったのですが、当時、経理の現場を見て最初に感じたことは「本当に無駄が多い!」ということです。
特に、これから起業される方には、経理業務をできるだけ軽くして本業に集中して頂く必要がありますので、是非参考にしてみて頂ければと思います。

経理業務はできるだけ軽くして本業に集中!  長瀬真利雄税理士事務所 税理士 長瀬真利雄

第二回 適正な経理コストとは?

経理に限ったことではありませんが、あるもののコストが適正かどうかについては、その「中身」や「利用目的」とセットで考えなければ意味がありません。

例えば、ディナー10,000円ということだけでは、それが適正かどうかはわかりませんね。これが神戸牛の鉄板焼きフルコースであれば、適正かもしれませんが、ファミリーレストランでとる食事なら高すぎると感じるでしょう(中身)。また、食事の内容は別としても、誰と一緒にする食事なのかという食事相手によっても金額の適切性というものは変わってきます(利用目的)。そういう意味において、経理の適正なコストを論じるためには、経理そのものの中身や利用目的をセットで考える必要があります。

このように日常生活においては常識的な考え方が、ビジネスとなった途端に飛んでしまうという現象は、多く見られます。本題に入る前に少し別の事例をお話しますと、私が以前広告費削減のコンサルティング業務でお手伝いさせて頂いた会社様では、印刷費を下げようとして、2社に見積を依頼しました。1社の見積は80万円、もう1社は70万円でした。この金額だけでどちらが安いかの判断は小学生でもできますが、どちらが適切かの判断をするためには、その中身について詳細に検討しなければなりません。デザイン費と印刷費の内訳はどうなっているか?紙質は同じか?スケジュールに違いはないか?等です。また、利用目的についても、販促用のチラシなのであればデザインを含めた企画力を重視しなければなりませんし、単純に増刷するだけなのであれば最低限の品質を維持した上での価格力を重視しなければなりません。

上記のように、印刷物という目に見える納品物があるものであっても、適切なコストというものを判断していくのは難しいことですので、経理という目に見えにくいサービスといいますか、前回のお話させていただきました「目を背けたくなる」ようなものについて、適切なコストを判断することはより難しいことといえます。

従って、経理の適切なコストについてのお話をさせて頂く前に、経理の中身や利用目的についてもう少し分解して考えてみる必要があります。

経理の「中身」についてですが、大きくは①入出金業務、②帳簿作成業務、③決算と税務申告、に分けることができます。例えば、②の帳簿作成業務について、会計事務所に外注しているか、していないかというところで、会計事務所の金額が適切かどうかは大きく変わってきます。また、②を自社でやらないのに、簿記知識のある経理人員は社内に不要と言えます。

次に、経理の「利用目的」という観点からは、「実際、経理から出てくる情報をどれだけ経営に使いますか?」という問題があります。「資金繰りが厳しくリアルタイムに資金状況を知る必要があるため、経理から出てくる資金繰り情報は経営にとって重要。」や「成長中なので、今投資出来るお金がいくらあり、どの程度のリターンがあるのか予測するための基礎情報を経理からもらいます。」等の状況であれば、経理の役割は大きく、経理にかかるコストが一見高いようであっても、十分に適切な場合もあります。しかし、上記のように経理から出てくる情報を経営に活用しない、又は、活用しきれない状況にあるのであれば、経理コストは徹底的に削減すべきでしょう。

ただし、まだまだ経理発信で経営に活かせる情報が眠っているのに活用できていない場合が非常に多いこと、コスト削減するにも最低限の正確性を保持できなければ、後で税務調査等において多額の重加算税等が発生して結局割高になることがあるといったことには注意が必要です。

次回は、「第三回 起業直後の方にお勧めのシンプル経理」をお送りします。