読むと役立つ連載コラム

税理士法人 住吉内山事務所 税理士 住吉真

こんにちは。税理士の住吉 真と申します。
このホームページをご覧のみなさまにとって、やはり『税』の問題はいつも気になる存在なのではないでしょうか?
このコンテンツでは、中小企業のみなさまに直結する『税』の話を取り上げて参ります。
「税法は難しい、わかりにくい」と言われていますが、ここでは、できるだけ「わかりやすく」そして「“旬”の情報をあわせて」ここ、東京は浅草・雷門の事務所から発信していきたいと思います。

やっぱり気になる『税』のはなし  住吉税理士事務所 税理士 住吉真

第二回 やっぱり気になる『確定申告』(その1)

今回から、所得税の『確定申告』について連載していきたいと思います。
最近は、各マネー雑誌等がそろって確定申告特集を組みますので、『確定申告』の文字が書店に並ぶと、今年もその時期か・・・という気持ちになります。
ところで、このページをご覧のみなさまの中で、確定申告される方はどれくらいいらっしゃるのでしょうか?いわゆる「個人事業主」の方は、毎年申告されていると思います。
一方、サラリーマンの方をはじめとして、まったく確定申告に縁のない方もいらっしゃるでしょう。もしかしたら、新たに個人で事業を始められて、会計ソフトをお探しでこのページをご覧の方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、ここでは、そもそも「『確定申告』とは何か?」から見ていきたいと思います。スペースの関係で、関連URLをご紹介して話を進めることもありますが、ご了承ください。

  • 確定申告とは?
    (1)確定申告とは?
    確定申告とは、「毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じたすべての所得の金額とそれに対する所得税の額を計算し、翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告書を提出する手続」です。
    よく、雑誌等で「確定申告して税金を取り戻そう」「お金が戻る」という見出しが目につきますが、確定申告とは、そもそも個人の1年間の所得とそれに対する税金を計算して申告する手続きですから、必ずしも「確定申告すればお金が戻る」とは限りません!
    もちろん、源泉徴収された税金や予定納税で納めた税金などがある場合には、確定申告により、その過不足を精算します。
    ですから、1年間の所得とそれに対する税金を計算した結果、納めすぎている税金があれば還付になりますが、逆に源泉徴収された税金等が1年間のトータルの税金より少なければ、当然、その不足額を納めることになります。

    (2)確定申告が必要な場合は?
    ところで、この確定申告が必要なのは、どのような方なのでしょうか。
    確定申告が必要な場合は、国税庁ホームページ等に掲載されておりますので、ご確認いただければと思います。
    国税庁ホームページ(申告書の提出が必要な方)
    このページをご覧の方では、たとえば、「個人事業主」の方はもちろん、「同族会社の役員などで会社から貸付金の利子や、家賃など資産の賃貸料を受け取っている」という方もいらっしゃるかもしれません。
    「株を売却した」などもあてはまりそうなケースです。
    株式等を売却して、申告が必要な場合については
    国税庁ホームページ(株式を売却した方へ)等をご参照ください。
    なお、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例等、一定の特例の適用を受けようとする方は上記の確定申告が必要なケースに当てはまらない場合であっても確定申告が必要な場合があります。

    このほか、確定申告が必要ない場合であっても、源泉徴収された所得税額や予定納税をした所得税額が年間の所得金額について計算した所得税額よりも多いときは、確定申告をすることによって、納め過ぎの所得税が還付されます(「還付申告」といいます)。サラリーマンのように年末調整で1年間の税金の計算と納税が完了している場合でも、「医療費が10万円以上かかった」「住宅ローンでマイホームを買った」などで控除を受ける場合などが考えられます。

    間違いやすいポイントとして、ここでは「給与を1か所から受けていて、かつ他の所得金額(給与所得、退職所得以外)の合計額が20万円以下は確定申告不要」という規定の適用を受ける場合を取り上げたいと思います。
    よく見られるのが、「給与と所得20万円以下の雑所得等があって、還付を受けようと確定申告書を提出するとき、20万円以下だからいいんだろうと、この、他の所得を抜いて申告しちゃった・・・」という誤りです。
    「給与以外の他の所得が20万円以下・・・」の場合は、確定申告は必要ないのですが、これは「本来は申告必要なのだけれど、この条件に該当するならば、確定申告しなくてもいいですよ」という規定なのです。
    ですから、例えば医療費控除や、住宅ローンの控除を受けようとして確定申告書を提出する場合には、これは確定申告する以上、20万円以下の雑所得等も含めて申告しなければならないのです。

  • 個人事業主・自営業の方の確定申告
    (1)事業所得とは?
    つぎに、「個人事業主」の方の確定申告について見ていきたいと思います。いわゆる「自営業」といわれる方、また最近は在宅でビジネスをされている方も多いかもしれません。このような方々は「事業所得」の計算をして、申告することになります。
    事業所得とは、「農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得」をいいます。ただし、不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は事業所得ではなく、原則として、不動産所得や山林所得になります。

    事業所得の金額は、次の算式で計算します。
    <総収入金額> - <必要経費> = <事業所得の金額>
    国税庁ホームページ(事業所得の課税のしくみ(事業所得))等をご参照ください。

    総収入金額は、いわゆる「売上」ですが、商品を自家用に消費したり贈与した場合のその商品の価額なども総収入金額に入ります。
    国税庁ホームページ(収入金額とその計算)等をご参照ください。
    一方、必要経費は、いわゆる「仕入」や「経費」です。これも、「経費になるかどうか」などで、ルールがあります。
    国税庁ホームページ(やさしい必要経費の知識)等をご参照ください。
    (2)『青色申告』って、よく聞きますが・・・
    よく『青色申告』という言葉もお聞きになると思いますので、ここでご紹介しておきましょう。
    『青色申告』とは、「一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする人については、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる制度」です。

    『青色申告』には、様々な特典がありますが、主なものは次の通りです。
    ①青色申告特別控除
    取引を正規の簿記の原則、一般的には複式簿記により記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表を損益計算書とともに確定申告書に添付して確定申告期限内に提出している場合には、原則として最高65万円を控除できます(それ以外の青色申告者については最高10万円を控除できます)。
    ②青色事業専従者給与
    生計を一にする配偶者その他の親族に支払う給与賃金は、原則として必要経費になりませんが、青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、その青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与は、事前に提出された届出書に記載された金額の範囲内で専従者の労務の対価として適正な金額であれば、必要経費として認められます。
    なお、青色事業専従者として給与の支払を受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれません。
    ③貸倒引当金
    事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者で、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金などの貸金の貸倒れによる損失の見込額として、年末における貸金の帳簿価額の合計額の5.5%以下の金額を貸倒引当金勘定へ繰り入れたときは、その金額を必要経費として認めるというものです。ただし、金融業の場合は3.3%になります(一括評価)。
    ④純損失の繰越しと繰戻し
    事業所得などが損失(赤字)になり、純損失が生じたときには、その損失額を繰り越して翌年以後3年間にわたって、各年分の所得金額から差し引くことができるというものです。
    また、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて、損失額を繰り戻して前年の所得金額から差し引き、前年分の所得税の還付を受けることもできます。
    ⑤減価償却の特例
    一定の要件を満たす青色申告者が、平成18年4月1日から平成22年3月31日までに取得した取得価額10万円以上30万円未満の減価償却資産については、一定の要 件の下でその取得価額の合計額のうち300万円に達するまでの取得価額の合計額をその業務の用に供した年分の必要経費に算入できるという特例があります(使用可能期間が1年未満のもの又は取得価額が10万円未満のものは、その取得に要した金額の全額が業務の用に供した年分の必要経費となります)。

    以上のように『青色申告』には、有利な特典が多くありますから、できるなら利用したほうが良いと思います。「一定水準の記帳」「正規の簿記の原則、一般的には複式簿記」「貸借対照表を損益計算書とともに確定申告書に添付」・・・尻込みしてしまいそうな言葉が並んでいますが、ここが、会計ソフトの出番でしょう。
    ビズソフトさんには『ツカエル青色申告』なんてソフトもありますし。

    ただし、新たに青色申告の申請をする人は、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を所轄税務署長に提出しなければなりません。
    なお、その年の1月16日以後に新たに開業した人は、開業の日から2か月以内に申請すればよいことになっています。

つづく

次回は、「第三回 やっぱり気になる『確定申告』(その2)」をお送りします。