読むと役立つ連載コラム

税理士法人 住吉内山事務所 税理士 住吉真

こんにちは。税理士の住吉 真と申します。
このホームページをご覧のみなさまにとって、やはり『税』の問題はいつも気になる存在なのではないでしょうか?
このコンテンツでは、中小企業のみなさまに直結する『税』の話を取り上げて参ります。
「税法は難しい、わかりにくい」と言われていますが、ここでは、できるだけ「わかりやすく」そして「“旬”の情報をあわせて」ここ、東京は浅草・雷門の事務所から発信していきたいと思います。

やっぱり気になる『税』のはなし  住吉税理士事務所 税理士 住吉真

第一回 ついに『税制改正大綱』決定~中小企業の税制は?

あらためまして、はじめまして。税理士の住吉 真と申します。東京は下町のまんまん中、浅草・雷門の目の前に事務所を構えております。
税理士になりましてから13年目、現在、日本税務会計学会の税法部門委員として、日々勉強させていただいていることなどからでしょうか、このたび「中小企業に直結する税法の話をお願いしたい」というお話をいただき、このコンテンツに連載させていただくことになりました。「税法は難しい、わかりにくい」と言われていますが、ここでは、できるだけ「わかりやすく」そして「“旬”の情報」を発信して参りたいと思います。
どうぞ、よろしくお願いいたします!!

さて、連載の1回目から「1年を振り返る」というような内容で恐縮なのですが、2009年の流行語大賞は『政権交代』に決まったそうです。この年の漢字は『新』だとか。2009年夏の衆院選で現実のものとなった『政権交代』は、それだけ大きな出来事だったと言えるのではないでしょうか。

その鳩山政権下での最初の税制改正。いったい、どのような内容が織り込まれるのか、注目されたのは当然だと思います。
『子ども手当』『暫定税率』・・・なかなか決定されなかったのはすでにご存じだと思いますが、ついに2009年12月22日「平成22年度税制改正大綱」が閣議決定されました。

この「税制改正大綱」、中小企業に関係するものとしては、主として次のようなものが盛り込まれました。

  • 特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度の廃止
  • 設備投資・研究開発関連
    ①中小企業投資促進税制の2年延長
    ②少額減価償却資産特例の2年延長
    ③中小企業等基盤強化税制の拡充
    など
  • グループ法人(親会社と100%子会社)税制
    ①親会社とその100%子会社によるグループ内における資産取引については、その譲渡損益の計上をグループ外への移転のときまで繰延。
    ②大法人の100%子会社に対する中小企業向け特例措置の適用は、親会社の資本金が5億円未満の場合は特例適用あり。
    など
  • 資本に関係する取引等に係る税制
    ○清算所得課税の廃止
    など
  • その他
    ①交際費の損金算入特例の2年延長
    ②個人事業主の共同経営者の小規模企業共済への加入に関する措置

・・・項目だけ見ていると「なんのこっちゃ?」という感じだと思いますが、次回以降にそれぞれ解説していきます。

ともあれ、パッと見て、「延長」という項目が多いとお感じになるかもしれません。要するに、少額減価償却資産の特例(取得価額が30万円未満の減価償却資産は、一定の要件のもとに、その取得価額を損金に算入できる)であったり、交際費課税であったり、これらは従来のまま、ということです。
グループ法人課税については、たしかに重要な改正だと思いますが、なかなか関係する方はいらっしゃらないかもしれません。清算所得課税というのは、会社を解散して清算するときに使う税制ですから、これに関係するようになってしまっては大変です。

とすると、やはり今回いちばん注目すべきなのは、「特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度の廃止」と言えるのではないかと思います。
この制度は、「特殊支配同族会社、というものに該当することになった会社(いわゆるオーナー会社です)が、業務主宰役員(つまり、いわゆるオーナー社長)に対して支払う給与については、その一部分(給与所得控除額に相当する部分)は損金の額に算入されません」というものです(適用除外になる場合もあります)。
つまり、オーナー会社は、(一定の要件に該当すると、)社長さんに給料を支払っても、それが全額損金にはなりませんよ、ということなのですが、この制度は、なぜ作られたのでしょうか?
これについて税制改正大綱では、「特殊支配同族会社の業務主宰役員は自ら給与を決めることで税負担の調整を図ることが可能であるという点を踏まえ、そうした役員給与が法人段階で損金算入され、個人段階でも給与所得控除の対象となる「二重控除」の問題に対処するために設けられたものです」と説明されているのですが、そもそもこのご時世、はたしてオーナー社長さんは全員そんなことを考えているのでしょうか?「二重課税」うんぬんは、ちょっと議論が複雑なのですが、要は「所得税(個人)で控除される(税金が安くなる)から、その分は法人(会社)からいただきますよ」という話です。そのような制度が許されるのでしょうか?
平成18年にこの制度が導入されて以来、私は、ことあるごとにこの制度の廃止を述べてきました。
実は、今回の改正にこの制度の廃止は盛り込まれない、という話もあったようです。それだけに、「しかし、この制度については、二重控除を是正する手法として適当かといった批判があります。このため、本制度は平成22年度税制改正で廃止します。」という一文を見たときには、「ついに」、との感を強く持った次第です。

一方で、注目されていた「中小企業に対する軽減税率の引下げ」は、「その早急な実施に向けて真摯に検討」とあるものの、見送られてしまいました。
このほか、目立たないのですが「消費税の仕入税額控除の調整措置に係る適用の適正化」という項目もあります。よく「設備投資をすると消費税の還付が受けられる」という話を耳にしませんか?これは、そういったケースに対応するように条件等を整備したものです。
この内容も、消費税のしくみとともに、次回以降に説明していきたいと考えています。

今回は、「税制改正大綱」について述べて参りました。本稿執筆時は決定から2日目、項目と私自身の感想のみとなってしまいましたが、次回以降は、いよいよ、『税』について毎回テーマを決めて、それぞれ説明していきたいと思います。2月、3月は個人事業者のみなさま向けに、確定申告情報も載せていけたらと考えております。

それでは、これから、よろしくお願い申し上げます。

次回は、「第二回 やっぱり気になる『確定申告』(その1)」をお送りします。